Googleアドワーズ大型(?)補強の新機能10個発表。“Step Inside AdWords”
かなり以前から、「Googleアドワーズに大きな追加がなされる」という発表が出ていました。
昨年2月のエンハンストキャンペーンのような、ややこしい「変更」「追加」「消失」などがあるのかな、と思われましたが、実際に本日発表があった内容は、至極普通(?)のアップグレードが10個。しいていえば「中型補強」でした。
参考リンク
・プレゼンライブの模様↓
Step Inside AdWords Livestream – April 22, 2014
・ライブ後の解説ー公式Googleアドワーズブログ↓
Inside AdWords: Sharing the latest AdWords innovations
・admarketech.さんの解説。とてもわかりやすくておすすめ↓
2014年4月のAdWords機能強化を考える ~ admarketech.
・サーチエンジンランドの意見記事↓
Google’s “Step Inside AdWords” News: Features For App Ads, More UI Tools, No Wild Surprises
上記サーチエンジンランドの意見記事の表題に「No Wild Surprises」ともあるとおり、期待された大胆な変革やサプライズはありませんでしたね。
もちろん、アドテクノロジーとしては群を抜いて素晴らしいものであることは間違いありません。
こういった超最新のテクノロジーを、わずか数千円や数万円の広告予算であっても、誰もが差別なく触れることができるGoogleアドワーズという世界は、やはり中小企業のマーケティングにとって大きな魅力なのです。
心許ない私の英語力ではイマイチ詳細がわからないところも多かったのですが、4月23日に公開された10個の強化機能をざっくりご紹介しましょう。
●概要
今回の中型補強(群)ですが、正式な名称はないようです。
SEOの世界における、検索エンジンアルゴリズムのアップデートのように「ペンギン」「パンダ」などわかりやすい名前つけてくれればいいのに、と思わずにはいられませんが、広告側の人たちは真面目な方が多いんでしょうね。あまり遊び感覚がございません(笑。
ざっくり私の印象を言うと、昨年発表されたエンハンストキャンペーンのアップグレード、という感じです。
スマホが増えたのでアプリ関連の広告機能を強化、クロスデバイスコンバージョンの補強、そのほかレポートなどのツール関連の新機能、といったラインナップ。
アプリ広告は、日本でもアメリカでもアプリ開発や販売に関わっている人以外は関係のなさそうな話ではありますが、世の中の大きな流れのひとつではありますので、しっかりおさえておきましょう(スマホのコンバージョンポイントとしては、フォームや電話などよりアプリダウンロードにした方が、スムーズという考え方もあります)。
その他のアップデートも地味といえば地味ですが、レポート機能の簡易化とビジュアライズ化なんかは広告運用オペレーションをする人にはすごい変化ではあります。
●補強された追加機能10個
追加された機能は以下の10個です。ざっくり、アプリ関連、推定総コンバージョン、ツール関連、の3つ分かれます。
アプリ関連広告
1, App keyword suggestions
2, In-app install ads
3, trueview companion for apps
4, App deep linking
5, Measurement(app)
推定総コンバージョン(成果計測機能)
6, Estimated total conversions
ツール(効率化)
7, Bulk actions
8, Automated bidding
9, Enhanced reporting
10, Drafts and experiments
●1, App keyword suggestions
アプリを販売する広告主が、適切な検索キーワードを選択しやすくする機能(?)らしいです。
上記の例では、ホテル探しアプリに向いた検索キーワードの例をあげています。
詳細画面などの説明なしでした。
●2, In-app install ads
ディスプレイ広告の一種のようです。
アプリダウンロード(Google play)を直接させるような仕様が上記図では説明されていました。
追記:ターゲティング強化がなされるようです。
admarketech.さんの記事によると、「ユーザーが既にインストールしているアプリに応じてターゲティングしたり、アプリの利用頻度やダウンロード履歴も考慮できる」、ということです。
●3, trueview companion for apps
スマホにおける動画広告を、アプリ向けに出せるものらしいです。
詳細スライドもなく、いまいちよくわかんないものでした。
●4, App deep linking
アプリのダウンロードを広告の飛び先にするのではなく、アプリの個別ページを「開く」というアクションを促す広告のようです。
上記画面の、広告のボタンが「Open」となっているところに注目。
追記:概念としては、「Re-engagement」ということで、一度インストールしたアプリを再利用してもらう意図のようです。
同じくadmarketech.さんの記事によると、「既にインストールしているアプリの利用頻度を上げてもらうためのプッシュ型アプローチが広告でできるようになる」、ということです。
なるほど面白いターゲティングですね。
●5, Measurement(app)
アプリをダウンロードさせた後の成果も可視化するような機能らしいです。
副題は、「Mesure across the entire lifecycle of app」です。「アプリのライフサイクルをずっと計測する」みたいな感じでしょうか。
追記:アプリ内購入とか、インストール後の利用頻度などがわかるようです。
アプリ解析ツールがGoogleアドワーズにくっつくというイメージでしょうか。
おそらく計測できるのはアンドロイドスマホだけだとは思いますが、アプリであればすべてデータ取得が可能ですから、サイトへのタグ挿入などの手間もいらないわけですね。広告→アプリインストール→利用→アプリ内購入といった流れと費用対効果がわかるようになるのは、確かに面白いですね。
アプリ販促の起爆剤になるかもしれません。
●6, Estimated total conversions
現在、クロスデバイスコンバージョンとか、電話コンバージョン、なんかを全部まとめた概念を、Estimated total conversions(推定合計コンバージョン)と定義して、実装されていますが、再度これの必要性を解説していました。
現在のものからどのようにアップデートされるかはよくわからず。
以下はツール系、管理画面上の便利機能のアップグレードです。
●7, Bulk actions
キャンペーンレベルでの一括操作がいろいろ便利になるみたいです。
地域設定系、とかですかね。
●8, Automated bidding
自動入札系のアップグレード。
「MAX VALUE」というものが追加されるそうです。ROASも入札戦略で現在設定できますし、イマイチ現在のものからどう変わるのかはよくわからず。
●9, Enhanced reporting
ある意味で一番視覚的、操作的にインパクトがありそうなのが、新しいレポート機能。
CSVでダウンロードして、エクセルでいろいろいじくる必要性が、今後はなくなりますよ、という説明がありました。
解説者「エクセルいじくるの面倒ですよね~」↓
「ドラッグ&ドロップでこんなに簡単に。。。」↓
「こんなグラフも簡単に出てきまっせ」↓
というわけで、Googleアドワーズのレポートは今後、いろいろ遊び心で楽しんで効率化できそうです。
●10, Drafts and experiments
最後は「ドラフト」、いわゆる「下書き」機能ですね。いままでも似たようなメニューが出ては消えていましたが、使いやすくなって再登場、となったようです。
現在の広告設定を新しくすると、どんなインパクトがありそうなのか、予測できるんでしょうね。
以上、10個でした。
●まとめ
ドラスティックなものは少なかったですが、Googleとしてもアドワーズの革新は毎日のようにいろんなプロジェクトが走っているんでしょうね。
アドテクノロジー(広告技術)で広告主が顧客獲得できるかどうかは、[人気のある媒体×媒体数×ターゲティング精度]できまりますので、人が目にすることが多いものであり、正確なターゲティングができれば、媒体はなんだっていいわけですよね。
今回の仕様追加は主にスマホ時代において急増するアプリという媒体への対応、という側面が強かったわけですが、今後はGoogleグラスのようなウェアラブルデバイスや、車のアンドロイド搭載デバイスへといった媒体(媒体、という言葉がしっくりこないのであれば媒介)への広告配信なども追加されていくのではないでしょうか。
そこでどのようなクリエイティブにするべきか、メッセージは何か、どのような設定を組み合わせれば最適なROIになるか、を考え設計するのがまさにマーケターの仕事です。
競争優位をつくるノウハウは時間と数で決まりますから、新しい媒体とターゲティング手法が出てきたら、すぐにテストしていきたいものですね。
英語ができる方、ぜひ補足お待ちしております!