スマホで嫌われる広告って実際この2種類でしょ。
さて、今回の記事では、「どんなスマホ広告がウザいのか?」を明確にしたいと思います。
その前に、軽く背景を説明しておきます。
昨年秋に、iOS9(iPhoneとかに搭載されてるOSね)がリリースされ、「広告ブロック」アプリが使えるようになりました。
ところが、日本においてはまったくもってたいした影響がないということが次第にわかり、最近はあまりメディアも騒がなくなりましたね。
参考:広告ブロックアプリの影響がほとんどゼロの理由
しかし、海外では広告ブロックを使われるのを嫌がるメディアが訴訟を起こしていたり、Googleが正式にアナウンスを始めたりと、当分この話題は尽きることがなさそうです。
そもそもどんな「スマホ広告がウザい」のか?現実を見よう
スマホユーザーの中には、「ウザいスマホ広告をどうにかしてよ」という需要が確実にあります。
その需要を把握したんならば、まずは「どんなスマホ広告がウザいと思うんですか? 具体的に教えてください」とユーザーに聞くべきですよね。
私はほぼ100%ネットの広告で生計を立てている人間ですけど、そんな私だって「スマホの広告がウザい」と感じることはもちろんありますよ。一方で、ニーズにぴったし合ってさらに購買に至って人生を豊かにしてくれるような素晴らしいスマホ広告もたくさんあります。
なので、「どんなスマホ広告がNGなのか?」を把握しないと前には進めないはずなんです。
「広告ブロックアプリを入れるのは自由だ」「いや、ネットのエコシステムを壊すようなことをするな」といったくだらない主張のし合いをたまに見かけるんですが、本当どうでもいいですよね。
「ウザいスマホ広告があるのなら、それをなくそう」という発想や動きがあれば、ユーザー、広告主、媒体、代理店、みんながHAPPYになれるじゃないですか。
ということで、「そもそもウザいスマホ広告とはどんなものなのか?」という定義をしてみたいと思います。
スマホのウザイ広告はたったの2種類に集約される
ネット上のニーズはネットで聞け、ということで、簡単な市場調査をしてみましょう。
誰でもちょっと調べればたったの3分でざっくりしたニーズが判明します。
1,スマホのモバイルアンカー広告はめっちゃ嫌われている
スマホのモバイルアンカー広告(下部に固定されて出る広告)は、とにかくスマホユーザーに嫌われている広告です。
●「スマホ 広告 ウザい」でGoogle画像検索した結果
●ヤフー知恵袋 「スマホ 広告 ウザい」で検索した結果の抜粋
●Twitterで「スマホ 広告 ウザい」で検索した結果から抜粋
実際、スマホ広告でウザいという声の半数はこれです。正直、私自身もウザいと思うことがよくあります。
では、なぜモバイルアンカー広告がだめなのでしょうか。
理由1:スクロールの邪魔
スマホは画面をスクロールさせるときに下から上に指でスワイプさせるわけですが、スマホ画面の下の方の起点にこの広告が「かぶさるように(オーバーレイ)」存在しているので、とても邪魔なわけです。もちろん、間違いタップが起きやすいですね(広告費の無駄ともいえる)。
理由2:文字を見るときに邪魔
最近は、スワイプの動きではクリック反応しないように進化(間違った方向の)してるケースもありますが、一瞬透明になってまた広告が画面下部に表示されるので、文章を読んでいるときに広告がかぶさって邪魔をしてきます。これは誰だってウザいと思いますよね。
スマホはコンテンツを見るとき、下から上に画面が流れるので、どちらかといえば、下の方に視点がいきます。
コンテンツを見たいのに、ニーズのない広告がずっと存在してたらウザくなるにきまってますよね。
理由3:PCでいえばポップアップ広告のように見える
スマホの固定フッター広告は、コンテンツの中には存在せず、それとは独立してポップアップしているかのよう見える広告です。「コンテンツの中に掲載されている広告」という意識よりも、まるで「自分のスマホに侵入してきている広告」のように感じるんでしょうね。
しかもこれがコンテンツと関連のない広告だったりすれば、ユーザーがこれを「消したい」と考えるのも無理はないですよね。
PCの世界では、画面が勝手に出てきてポップアップする広告は、ほぼ2000年代はじめに絶滅しました。もちろんユーザーのコンテンツ閲覧体験を邪魔するからですよね。
その後、検索広告を中心に検索と連動したり、コンテンツと連動しながら自然に存在する広告ができてきて、Googleは7兆円もの広告収益をあげるようになったわけです。
15年前の間違いをまた繰り返してるわけですから、ユーザーから不満が出るのは当然ですね。
解決策:全部ネイティブ広告にしよう
じゃあどうしたらいいんだ?ということですが、ネット上で「スマホ 広告 ウザい」と調べたときに、Googleの「検索広告」やヤフーの「インフィード広告」がその対象になっているケースはまず見当たりません。
要するに、ネイティブにコンテンツに溶け込んでいて「PR」と入っていればスマホ広告も極端に「邪魔だ」なんて思われることは少ないわけです。
↓ヤフーのネイティブ広告「インフィード広告」の例
技術的にはネイティブ広告にする方法は確立されているわけですから、いまだに時代遅れのスマホのアンカー広告を続けていては誰のためにもならないですよね。
2,アダルト広告はアダルト媒体のみにしよう(最低でもリマケ)
スマホ広告で明らかに嫌われているのは、上記のモバイルアンカー広告と、もうひとつがエロアダルト広告です。
こちらの具体的なユーザーニーズは、Twitterの検索結果と、ヤフー知恵袋の検索結果をざくっと見てください。
ここで重要なのは、
「PCサイトではアダルト広告なんか出さないのに、なぜかスマホでは堂々とアダルト広告を出す」媒体が実に多い、という点です。
たとえばこちらのサイトは、PCサイトではとてもよい記事も排出している素晴らしいビジネス記事媒体ですが、スマホとなるとなぜだか堂々とアダルト漫画広告を掲載しています(注:シークレットモードで見たからリマケじゃないよ!)。
いや、別にですね、アダルト産業は広告を出すな、と差別してるわけじゃないですよ。
アダルトだって立派な(というか巨大産業)需要があり、むしろネットビジネスを進化させてきたのはアダルトだと言われてるくらいですからね。
しかし、普通のビジネス記事を見ているときに、ターゲティング無視でアダルト広告が出てきたらそりゃ拒否反応あるに決まってるじゃないですか。スマホは持ち歩きデバイスであって、電車の中で横見されることってあるんですから。
アダルト広告は、アダルトのコンテンツもしくは媒体のみにしておけばなにも問題ないでしょう。
まとめ
というわけで、スマホにおいては、
1,モバイルアンカー広告(固定フッター広告)
2,アダルト以外のコンテンツでのアダルト広告
がなくなれば、「広告を消したい」という需要は大幅に減るんじゃないでしょうか。
※厳密には、youtubeの動画広告、リマケ・リタゲに関する不満もよく見られるのですが、こちらはスマホだけの特有の問題ではないので、あえて本記事では取り上げていません。
なにしろこういった話は、広告業界、メディア、広告主、広告プラットフォーム提供側、ユーザー、みんなが声をあげていかなければ何も変わらないですよね。どう考えても邪魔な広告を放置してきた結果の広告ブロックアプリ乱立、ともいえるわけです。
先日、Googleは、アプリにおけるエキスパンドを、ユーザー体験の妨げ要因として、ランキング降下につながることを警告しました。
そうであるならば、ネット広告の王者であるGoogleは、「どんな広告ならOKなのか」という議論をするのではなく、同じように「ユーザー体験を邪魔している広告はなんなのか」をもっと深掘りして定義してもいいじゃないかと私は思います。
●参考リンク
「アイコン広告と比べて収益が2.7倍に」「なじませるほど収益性が上がった」ネイティブ広告ネットワーク「Hike」が語るアプリマネタイズのコツ。 | アプリマーケティング研究所
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