詳細解説「クロスデバイスの推定コンバージョン」とは何か。スマートフォン検索広告のCPA(顧客獲得コスト)が悪いことへのひとつの解決策
スマートフォンやタブレットの登場。
これによって、検索エンジンからサイトへの集客は大変にややこしいものになってしまいましたね。
多くの人が、スマートフォン(スマホ)とPC(パソコン)を両方使うし、場合によっては、スマホ+PCに加えてiPadなどのタブレットも常時使用してる人もよく見かけますね(見やすい大きさの画面であるタブレットは老眼がはじまる40歳以上のオジサン層にも大人気)。
朝起きたらまず布団の中でスマホをいじってLINEやらFacebookをチェックし、電車の中でまたスマホでニュースやらメールを見て、職場についたらガシガシPCを動かし、家に帰ったらiPadで買い物しながらテレビ見る・・・みたいな生活の人も多いのではないでしょうか。
こういうのをマルチスクリーン(複数画面)、あるいはマルチデバイス(複数機器)、と言うそうです。スティーブ・ジョブズが2008年にiPhoneを世に出してから5年。世界は本当に変わってしまいました。「宇宙に衝撃を与えたいんだ」と言った彼の言葉は、あながち嘘ではなかったわけですね。
●スマホとかタブレットとかが増えてしまうと検索広告で何が困るのか
さて、検索広告で広告費を投資して売上利益をあげようとする広告主にとって、マルチ(複数)デバイス持ちの人がものすごく増えてしまったために、困った問題が起こっています。
「どのキーワードのどの広告でコンバージョン(※)したのか」ということを検証し、費用対効果を考えながら、適正なコストで新規顧客を獲得していくのが検索広告の基本なんですが、スマホが激増しただけでなく、「スマホもPCもタブレットも同時に使う」人が増えたので、これがわかりにくくなったんですね。
※「コンバージョン」=ホームページ(ウェブサイト)上でお客さん「購入」や「資料請求」、「問い合せ」「見積依頼」などのアクションをしてもらうこと。
例えばこういうケースです。
私が「あったまるん」という名前の(架空ですw)、オリジナルの「格安暖房機」を売っていたとしましょう。
お客のAさんは、寒くなったので暖房機が欲しくなって、会社帰りの電車の中でスマホをいじくり「暖房機 比較」というキーワードで検索をして、いろんな検索キーワード広告をクリックします。
「暖房機 比較」というキーワードに「あったまるん」のスマホ検索広告が出ていたため、Aさんはそこで初めて「あったまるん」の存在を知ります。そして、ページを見て購入しようと思ったのですが、降りる駅が近づいてきたので決済をあきらめてしまいました。
でもやっぱり家に帰ってもめちゃ寒いので、PC(パソコン)を立ち上げて、スマホで目に留まって覚えていた「あったまるん」という固有名詞を検索して、今度は広告をクリックせずにオーガニックの検索結果をクリックして、購入(コンバージョン)をした・・・。
こういうケースを、「クロスデバイスでのコンバージョン」と表現します。「スマホとPCといった複数機器(デバイス)の間をまたぐ(クロス)」というイメージでしょうか。似たような体験を、私たちも日頃しているのではないでしょうか。
問題は、さきほどの「あったまるん」のようなケースは、GoogleアドワーズやYahoo!プロモーション広告といった検索広告では「コンバージョン」が現状計測することができない、ということです。
Aさんがスマホでクリックした「暖房機 比較」という広告のコストだけが計上されてしまい、「この広告の効果はなかった」と見なされてしまうのが現状のシステムです。
とはいえ、この「あったまるん」のケースでは、明らかに広告の効果で購入した因果関係がありそうですよね。
「暖房機 比較」というキーワードに広告を出していなかったら、お客のAさんは「あったまるん」を知ることがなかったからです。
広告のターゲティング設定、配信設定がしっかりできていればいるほど、商品の情報を求めてクリックするユーザーに広告が接触する確率はあがります。
しかし、検討期間が長い(コンバージョンするまで長い)商材、ユーザーが多くの競合と比較検討してコンバージョンする商材であるほど、1回の広告クリックではコンバージョンが獲得できません。そのような商材の場合、コンバージョンするまでの平均の広告クリック数は多くなる傾向があります。
前述の「あったまるん」のようなケースでは、広告からのコンバージョン数やそこから導き出されるコンバージョン率が、従来の広告管理画面上で、低く見積もられる可能性がありました。
そのため、クロスデバイスでのコンバージョンを加味すれば、広告効果は悪くない場合でも、広告管理画面上の数値のみの判断で、無駄なクリックにより広告費がかさんでいるとされる場合も存在していました。
このような状況は、検索広告の戦略や、サイトの戦略が混迷する原因となっていました。
コンバージョンしているユーザーが利用しているのはPCかスマホか、それともその両方かといった情報は重要な項目です。
PCサイトのほかにスマートフォン向けサイトを作るべきかどうかやスマートフォン向けサイトの制作にどれくらいの予算や期間をかけるべきか。
コンバージョンしているユーザーが利用しているのはPCかスマホか。
また、そのシェアはそれぞれどれくらいかがわからなければ、ウェブマーケティングの戦略を考えることは非常に難しいです。
今回、クロスデバイスコンバージョンが可能になったことで、今まで以上に、キャンペーン単位での設定や広告配信方法、それに広告を表示しているプレースメントや位置、広告配信キーワードのパフォーマンスの分析が多角的に行えるようになりました。
●Googleが考えた新しいコンバージョン計測方法とは?
そこで、Googleはこの「クロスデバイス」のパターンを、現状のコンバージョンとは別の定義の新しいコンバージョンとして計測しようと考えました。
しかし、これには大きな壁が存在します。
現状コンバージョンを計測する仕組みは、インターネット・エクスプローラーやfirefox、Googleクロームなどの「ブラウザ」に依存する「クッキー」というものを元にしているため、「同じデバイスの同じブラウザ」で、広告をクリックしてそのまま購入や問い合わせなどのコンバージョンした場合でしか計測できないんですね。
これをなんとかしようとして編み出された手法が、先日Googleアドワーズに実装された「クロスデバイスの推定コンバージョン(※)」という仕組みです。
※ちなみに「クロスデバイスの推定コンバージョン」と、「推定合計コンバージョン」は別物です。すごく紛らわしいですね。勘違いされる人が多いので要注意です。推定合計~の方の話をすると複雑さが倍加するので、まずは「クロスデバイスの推定コンバージョン」だけを理解することをおすすめします(Googleが独自に定義・作成した計測項目で、専門家の私でも、理解するのに少し時間がかかりました)。
元々、このクロスデバイスコンバージョンの計測については、エンハンストキャンペーン主要の(ある意味一番重要な)追加機能として今年の2月、早々に告知されていましたが、結局エンハンストキャンペーンの正式移行時には間に合わず、それから2ヶ月以上経過してからの実装となりました。
クロスデバイスのコンバージョンの計測ロジックについてはGoogleアカウントを使って実現しています。
普段、みなさんが無料のGoogleカレンダーやGmailを使う場合は、「Googleアカウントにログイン」しますよね。
スマホやタブレットなどのモバイル端末(Googleアカウントでログイン)で検索した後、PC(同じGoogleアカウントでログイン)で検索した場合、「スマホで広告をクリック」→「PCのオーガニック検索結果から購入(コンバージョン)」した、ということがわかるようです。
Googleアカウントには、ユーザーの行動履歴(例えば、Googleが掲載している広告のうちどれをクリックし、どのサイトにアクセスしたかといった情報)が蓄積されているので、そのデータを利用してクロスデバイスのコンバージョンを計測しているのです。
広告管理画面上の数値で同一ユーザーが行ったコンバージョンを見逃す可能性が減ったため、より詳細なデータを用いて、広告戦略を考えることができるようになりました(商材によっては、商品の検索はスマホで行い、購入はフォームの入力がしやすいPCで行うということが考えられます。現在においては、ユーザーがコンバージョンするまでに複数のデバイスをまたぐことは少なくないとされています)。
●なぜクロスデバイス・コンバージョンは「推定」なのか?
現在、Googleは複数デバイスであっても、同一アカウントでログインしていれば、上記の「あったまるん」のようなケースは、クロスデバイスでのコンバージョンを正確に計測できます。
Googleアカウントユーザーの行動をデータで把握している、ということにですね(匿名でデータは保管されるそうです)。
ただし、この方式にも限界があることは誰でもすぐにわかりますよね。
iPhoneの場合、Googleアカウントにログインしていない状況で検索をすることも多いでしょうし、そもそも誰でもGoogleアカウントを持っているわけではないですし、更に言えばITスキルの高い人は「仕事用とプライベート用」でGoogleアカウントを分けている人もいるでしょう。
※Androidの携帯で複数のGoogleアカウントにログインしている場合は、携帯本体のログイン情報が優先されます。
このように、いかにスマホの世界でGoogleの支配率が高いといえども、検索ユーザーは「複数デバイスで同じGoogleアカウントにログインした状況下」にいないことも十分あり得ます。そこで、「推定(推測)」という概念が登場したわけです。
どのように推定しているか、のロジックは公開されていませんが、おそらく以下の様な数値を分析しているかと思います(ちょっとややこしいので、興味ない人はこの推定ロジック論は飛ばしていただいてOKと思います)。
1,スマホで広告主のGoogle検索広告をクリックした人の数
2,そのうちGoogleアカウントを持っている人の数
3,そのうち同じGoogleアカウントを使って複数デバイスで検索している人の数
4,3、の状況下でクロスデバイスコンバージョンした人の数
4のケースで、ある一定数のクロスデバイスのコンバージョンが発生した場合に、「他の状況下でも同じ事象が発生しているだろう」と推測し、割合を割り戻して「クロスデバイスの推定コンバージョン」という数値を出しているのだと思われます。
スマホは、情報検索の起点でありながら、広告をクリックしてすぐにコンバージョンに至る可能性が高くないケースもあり、また電話もかけやすいので、PCに比べてコンバージョンが数値として現れない傾向にあるようです。スマホのコンバージョン率が悪い、もしくはCPA(顧客獲得単価)が良くない、とされやすい大きな原因のひとつです。
ゆえに、せっかくスマホの広告によって、広告主の商品が売れているのにもかかわらず、それを過小評価してしまえば、大きな機会損失になります。
あくまでも推定ではありますが、このクロスデバイスコンバージョンの指標を使って、「スマホ検索広告への投資はコンバージョンへの貢献をしている」と、見直してあげてもよいのではないでしょうか。
●とてもわかりにくいクロスデバイス・コンバージョンの発動条件
この「クロスデバイスの推定コンバージョン」なんですが、実は「どのようなケースで発生するか」が、大変にわかりにくいので解説しておきます。
~クロスデバイスのカウントが発動する条件~
1,オーガニック(自然検索結果)からのクリックでのコンバージョンが前提
2,オーガニック(自然検索結果)からのクリックでコンバージョンしたとしても、同じデバイスで過去に広告をクリックしていた場合、クロスデバイスコンバージョンはカウントされずに、そのデバイスに通常のコンバージョンのみがカウントされる。
ややいこしいですね。
発動する場合と、発動しない場合をケースで見てみましょう。
・ケース1 発動する=「スマホで検索して広告をクリック」→「PCで検索してオーガニックでコンバージョン」
ケース1は、「スマホで検索して広告をクリック」→「PCで検索してオーガニックでコンバージョン」というパターン。前述の「あったまるん」のケースです。
この場合は、クロスデバイスコンバージョンがスマホにカウントされます。通常のコンバージョンはカウントされません。
一番わかりやすいですね。
以下、ケース2~4は、すべて「クロスデバイスコンバージョン」が計測されそうなんだけど、計測されない場合です。
・ケース2 発動しない=「PCで検索して広告をクリック」→「スマホで検索して広告をクリック」→「スマホで検索してオーガニックでコンバージョン」
ケース2は、「PCで検索して広告をクリック」→「スマホで検索して広告をクリック」→「スマホで検索してオーガニックでコンバージョン」というパターン。
この場合は、PCにクロスデバイスコンバージョンがカウントされそうですが、されません。
通常のコンバージョンがスマホにカウントされるだけとなります。同一デバイスにおいて過去に広告のクリックがある場合は通常のコンバージョンだけがカウントされるわけです。
・ケース3 発動しない=「PCで検索して広告をクリック」→「スマホで検索して広告をクリック」→「PCで検索してオーガニックでコンバージョン」
ケース3は、「PCで検索して広告をクリック」→「スマホで検索して広告をクリック」→「PCで検索してオーガニックでコンバージョン」というパターンです。
この場合もケース2と同様、スマホのクロスデバイスコンバージョンをカウントしてあげてもいいような気がしますが、カウントされません。
スマホの広告クリックが間にはさまって(クロスして)いますが、PCの広告クリックがあった後にPCのオーガニックでの通常コンバージョンとなるためです。
・ケース4 発動しない=「スマホで検索して広告をクリック」→「PCで検索して広告をクリック→そのままコンバージョン」
ケース4は、「スマホで検索して広告をクリック」→「PCで検索して広告をクリック→そのままコンバージョン」というパターンです。こちらも通常のコンバージョンがカウントされるだけです。
「ひとつのコンバージョンに対して、『通常のコンバージョン』と『クロスデバイスコンバージョン』のダブルカウントはされない」と覚えておけばよいかと。
※上記はGoogleさんが提供されている資料をちょっと手直しさせていただいたものです。
クロスデバイス・コンバージョンが、オーガニック(自然検索結果。SEO領域ということね)でのコンバージョンした場合にのみに限定していること、同一デバイスでの過去に広告クリック発生があれば、途中のクロスはカウントしない、といったスタンスは、かなり厳密であって「クロスデバイスの影響がはっきりある」というケースのみ、カウントしていることがわかります。
かなりややこしいですが、
「オーガニックの検索結果をクリックした後にコンバージョンしたケースのみ発動する」
「オーガニックでコンバージョンが発生しても、同一デバイスで過去に広告クリックがあるなら発動しない」
「広告をクリックしてそのままコンバージョンした場合は通常のコンバージョンになるので発動しない(ひとつのコンバージョンに『通常』と『クロスデバイス』はダブルカウントはされない)」
と覚えておけばよいと思います。
なお、「オーガニックが前提」ということに関しては、Googleさんのヘルプや資料には記載がなかったのですが、直接ヒアリングして明確な回答をいただきました。
●Googleアドワーズ管理画面での「クロスデバイスの推定コンバージョン」確認方法
確認方法としては、Googleアドワーズ管理画面の「表示項目」から「コンバージョン」をクリックすると、「クロスデバイスの推定コンバージョン」というのがあるのでそれを追加するだけです(※繰り返しますが「推定合計コンバージョン」ではありません)。↓
現在のところ、キャンペーン単位、広告グループ単位でしか確認できません。
また、50件/日(1500件/月)くらいのコンバージョンが発生するアカウントでないと、クロスデバイスの推定コンバージョンは付かないようです(ただし、1日8件程度のコンバージョンのアカウントでも発生しているケースもあります)。今後はだんだんと、少ないコンバージョンのアカウントでも対応していくものと思われます。
広告媒体先としては、今のところ計測できるのはGoogleの検索だけです。
●「クロスデバイスの推定コンバージョン」を確認して評価する方法
実例をひとつあげておきます。↓
上記の図はある物販のクライアントさんのケースですが、スマホ(フルインターネットブラウザ搭載の携帯端末)のクロスデバイスの推定コンバージョンが、通常のコンバージョンと合計した数値に対して、15%ほど発生していました。
PCは1.6%程度ですから、スマホはクロスデバイスコンバージョンをよく発生させている、とわかります。
ざくっと見た感じでは大抵のケースでスマホの方がPCに比べて多く発生していますね。
評価の仕方ですが、あくまでも「推定」ですので、あまり定量的(数値的)に判断はしない方がよいのかな、と思われます。
「ほうほう、スマホで10%増加分くらいの追加コンバージョンを産んでるかもしれない(推定)わけか。スマホのCPA(顧客獲得コスト)ちょっと悪いけど我慢してあげようかな~」くらいの、ゆるりとした評価(しかしとても重要な)をしてあげると、広告投資からのリターンがより生まれやすくなるのではないでしょうか。
●クロスデバイスコンバージョンはどれくらいの発生率なのか
さて、クロスデバイスの推定コンバージョンですが、一般論としてはどれくらい発生するもんなんでしょうか。
これについては、Googleアドワーズの英語ブログに解説の図があります(借りました)。
推定合計コンバージョンという前提で説明されてるので、いまいちわかりにくいのですが、超ざくっと、「12%~2%」くらい発生する、と考えていいのではないでしょうか。
エンターテイメントや旅行、テクノロジーなどの分野はクロスデバイス発生率が高く、ローカル情報などはあまり発生しないようです。
ローカル(地域情報)検索なんかはスマホで完結してしまうので、PCにクロスしない、ということなんでしょうね。
●なぜ、Googleはクロスデバイスコンバージョンを測定できるようにしたのか
米国の市場調査会社、eMarketerは、Googleのモバイル検索におけるシェアが減少すると推測している。同社によると、その要因はアプリ内検索の利用増大。スマートフォン(スマホ)やタブレット端末においては、Webブラウザーを使う検索から特定のアプリを使う検索へと利用動向に変化が表れているという。
日経新聞WEB版2014/6/7 6:30
Googleは、この状況を打破すべく、クロスデバイスコンバージョンの測定という機能をリリースしたのではないかと考えられる。
スマホ単体での広告でのCVが伸び悩んでいる広告主に対して、クロスデバイスコンバージョンという新しい指標で効果測定できるようにすることは、広告主を他の広告媒体に逃げださせないために有効だと考えられるからだ(クロスデバイスコンバージョンの数値も加味して見た場合には、スマホで出していた広告の効果も想定以上だったということが起こりうる)。
Googleがクロスデバイスコンバージョンを測定できるようにしたことで、他の広告媒体も同じような機能をリリースする可能性がある(機能を実装して管理画面上のCVが減ることは考えにくく、デメリットはない)
●豆知識
多くの広告媒体を配信したり、デバイス毎に調整したりする際にべんりな、マリンソフトウェアの広告管理プラットフォームをはじめとした多くのツールが存在しています。
ただし、注意しなければならないのは、これらのツールでは、媒体の広告管理画面上で取得できる情報以上の情報は取得できないということです。
新たにツールを導入したからといって、新たにクロスデバイスコンバージョンが測れるようになる媒体は存在しない現状は確認しておくといいでしょう。
●まとめ
マルチスクリーン、マルチデバイスは、今後ももっと種類が増えてくると予想されています。
Googleグラスや、スマートウォッチなどのウェアラブル(身につけられる)デバイスが続々と開発されていますし、電子ペーパーのようなものも出てきています。
今後のネットマーケティングは、検索広告だけでなく、ディスプレイ広告もふくめて、「クロスデバイスでのコンバージョン」とは密接に関わらざるを得ません。
いずれにしても費用対効果の厳密性は、不確実性を残したまま今後も進んでいきそうですが、しかし広告投資の判断を「クロスデバイス」抜きで考えるのはもはや時代遅れになりつつあるようです。
デバイス別のCV数の推定や、デバイス別の入札単価の設定に至るまでを、これまで活用していた指標だけでなく、クロスデバイスの推定コンバージョンを加味して、調整にいかすことで、広告効果をよりあげることができるでしょう。
ジョブズが5年前にこの世に与えた衝撃は、私たちの目の前の仕事の変革をもせまっています。
誰しもが腹を据えて、いずれこの挑戦に応じていかなくてはならないのでしょうね。
●参考リンク
推定コンバージョン数について – AdWords ヘルプ
内容のほとんどが「クロスデバイス・コンバージョン」の話をしているのにもかかわらず、ページタイトルが「推定コンバージョン数について」になっていて、さらには指標としては「推定合計コンバージョン」を見てください、というメッセージのヘルプ記載になっているので、とてもちょっとわかりにくいです。ブラウザはともかく、日本では使えないGoogle電話転送の話、サービスそのものがない実店舗の話などを、クロスデバイスと同じ土俵で説明しているところが難解さを深めてしまっています。Googleさんとしてはあまり「クロスデバイスの推定コンバージョン」という指標を単体では見てほしくないんでしょうか。。。
Inside AdWords-Japan: 推定合計コンバージョン:マルチスクリーン時代に対応するための新たな分析データ
こちらのブログ記事も同様で、ちょっとわかりにくいです。なお、「デバイスをまたいだコンバージョン」という表記のところは、英語原文は「Estimated(推定された) Cross-Device Conversions」となっています。管理画面の日本語表記の「クロスデバイスの推定コンバージョン」は、英語表記では、「Est. cross-device conv.」です(ヘルプページが米国発であることから、解説記事も英語のものが多いです。日本語だけで正しい情報を獲得しようとすると、少しつまずいてしまうかもしれませんね)。
71%がスマホから!オンラインショッピングでの検索起点
Googleの調査結果。スマートフォンは検索をし始める起点になりやすく、PCへ68%、タブレットへは3%、クロスデバイスする、というデータがあります。
リスティング広告にまつわるCookieについてまとめみる
検索などの広告のコンバージョン計測に使う「クッキー」のとてもわかりやすい解説。「クッキー」による効果検証の限界がよくわかります。