2015年版Googleアドワーズ新機能9個発表。
昨年の2014年アップデート10個に続き、2015年もアドワーズの新しい広告機能が9個ほど発表となりました。
なんかこれから毎年、春にまとめて公開していくようですね。
●参考リンク
プレゼン後の公式アドワーズブログの解説(英語)
Inside AdWords: Building for the next moment
(大ざっぱです)
プレゼンの様子(英語:Livestreamの録画)
AdWords livestream 2015 – YouTube
昨年2014年版↓
Googleアドワーズ大型(?)補強の新機能10個発表。“Step Inside AdWords”
●概要
昨年に引き続き、モバイル(スマホ)適応に関するアップデートが多いです。
広告のイノベーションはすべてスマホです。
構成としては、大きく分けてスマホ広告、自動化、計測の3つのアップデート。
前半のスマホ広告は、自動車、ホテル、保険、クレジットカード、住宅ローンなど、「産業特化の広告」が強調されています。各業種に関係ない人はちょっとモチベーションダウンですが、まあこういう細分化は今後の方向性なのでしょう。
日本もアメリカもいまだトップの市場規模を誇る自動車産業から仕掛けていくのは当然とは思いますが、ぜひニッチ市場まで広がることを期待したいですね。
注意点としては、よくあるケースとして、たくさんの新機能が発表はされるものの、実装まで1年近くかかったり、日本対応がなかったり、あるいは半年くらいでよい成果が出ないとあっさりとサービス終了したりします(昨年のアプリ広告は全然盛り上がらず)。
なので、「ほうほう、こういう方向でGoogleは考えているんだな」くらいの軽いノリで押さえておくレベル感がおすすめです。
アップデートされた9個
スマホ広告
1,Automotive ads(自動車広告)
2,Hotel ads(ホテル広告)
3,比較広告の強化
自動化
4,自動入札の強化
5,Dynamic Search Ads(動的検索広告)の強化
6,バナーの自動サイズ変更機能
計測
7,アトリビューション強化
8,クロスデバイスコンバージョンの強化
9,来店者の計測
それでは各項目の詳細です。
●1,Automotive ads(自動車広告)
車の購入者はオンラインで15時間もの時間を比較と情報収集に費やす。写真やほしい車のヴィジュアルを見ようとする傾向にある。車に関するGoogle検索のうち、およそ半分はイメージ検索となっている。
というわけで、
画面フリックすると、車の外観、内観写真をスルスルと閲覧することができる。画像をタップすると、馬力がどのくらいか確認できたりする。
「ディーラー」というリンクをクリックすると、近くのカーディーラー一覧および、そこまでのおおよその距離情報を得ることができる。このへんはスマホならでは。
※フリックの動きの雰囲気などは、こちらのGoogle AdWords Announces New Tools & Formats As Mobile Search Surpasses Desktopの記事中を参考ください。
●Hotel ads(ホテル広告)
ホテルを検索するユーザーは、宿泊費や、空き状況、ロケーション、ユーザーレビュー、説明、Googleストリートビュー、それに高画質な写真を探している。
ということで、多様なソースから現時点での宿泊費を表示させたり、“予約”を選ぶことでパートナーサイトで予約を取ることができるようにする。
いままでの検索広告と比べて、テストでは45%のコンバージョン率増加だそうです。すばらしい。
●3,比較広告の強化
この比較広告のところは、ちょっとややこしかったです。
すでにアメリカとイギリスだけに対応している「Google compare(比較)」というもののスマホ対応アップグレードのようなのですが、前提条件が省かれているので、理解しにくいですね。
まあ、日本では当分導入ないでしょうから興味ない人は飛ばしてもいいかもです。
「自動車保険」「クレジットカード」「住宅ローン」の3つの比較広告ですね。
・自動車保険の広告
現在すでに一部導入されているが、単に価格のみが比較要素でないため、あらたに保険業者の信頼度やカスタマーサポートの満足度も表示されるようになり、また一定層、近くに代理店があるかというのを気にする人がいるのでそういった情報も表示されるようになる。
(数週間以内に)
適用範囲は、すでにローンチされているカリフォルニア州に加えてテキサス、イリノイ、ペンシルヴェニアの3つの州となる(日本人にとっては本当にどうでもいい情報なのですが、ニューヨーク州とフロリダ州を除けばほぼ人口の多い州順です)。
・クレジットカードの広告
ナショナルバンク(日本でいうメガバンク)だけでなく、ローカルな銀行のクレジットカード情報も比較できるようにする。
理由は、ローカル銀行はその地域向けに特別なオファー(特典)を設けていたりするから。
・住宅ローンの広告
住宅ローンを扱う複数の業者の金利を確認したり、利率や、ローンの条件、手数料といった基準をカスタマイズして再吟味といったことが可能になる予定。さらにGoogle検索広告から直接、承認済みの金融業者に申し込みをしたり、資格を有するアドバイザーより詳しく話を聞いたりすることができる(数か月以内に実装)。
この住宅ローンをはじめ、車の保険、クレジットカードの比較についてはGoogle Compareに追加される機能のようです。
●4,自動入札の強化
・CPA入札シミュレーション
目標CPAを変えることでどの程度CVが増えるかなど、シミュレーションを見ることができるようになる。検索広告とディスプレイ広告で近いうちに利用可能。
・入札戦略ダッシュボードの改良
共有ライブラリの入札戦略ダッシュボードが新しくなる。目標に対して、入札戦略のパフォーマンスを評価できるよう、より透明性とコントロール性が高くなる。
●5,Dynamic Search Ads(動的検索広告)の強化
サイトのコンテンツに応じて、推奨カテゴリーターゲットと、既存のキーワードで似ているもののパフォーマンスをもとに、カテゴリごとの推奨CPCを新たに追加。また、サンプルのクエリと、それに対して表示される広告、ユーザーがどのページにランディングするのかが確認できるようになり、透明性を高くした。
今後数か月以内に、グローバルに実装していく。
テストでは、50%のコンバージョン率増加、38%のコストダウンができたそうだ。パチパチ。
※既存の動的検索広告についての参考
恐ろしく便利!Google AdWordsの動的検索広告の仕組みと効果的な利用方法 | SEM-LABO
●6、バナーの自動サイズ変更機能
160×600、728×90、300×250の3サイズを登録すると、サイトに合わせてバナーのサイズがリサイズされ、GDNの95%をカバーできるようになる。
「いやさあ、最近スマホとかタブレットとかいろんなサイズあるからさあ、バナーも山ほどいろんなサイズのつくんなきゃいけないじゃん!」
「だからさあ、自動でサイズ変更できるようにしてあげたさ」
「したらほら、コンバージョン数20%も増えて、CPAも16%も下がったよ!すごいっしょ!!」
●7,アトリビューション強化
今回新たに「データドリヴン(右下)」というモデルを追加する。
これは、コンバージョンに至るまでの、それぞれのキーワードの実際の貢献度を計算するために、コンバージョンデータを利用する。
アトリビューションモデルはコンバージョンタイプごとに選ぶことができ、選択内容はAdwordsのレポーティングに反映され、また自動入札にも適用される。
●8,推定合計コンバージョンの強化
推定合計コンバージョン(クロスデバイスコンバージョンを含む)自動入札に適用できるようになる予定。
加えて、PCで接触後アプリでコンバージョンした場合や、その逆についてもコンバージョン計測ができるようになる(今年の後半実装予定)。
※参考 詳細解説「クロスデバイスの推定コンバージョン」とは何か。
●9,店舗来店者数の計測
店舗があるビジネスの話。
アメリカ、カナダ、オーストラリアでは昨年実装された、推定の来店者数が今後数か月のうちに、さらに10か国で利用可能になる(日本が入るかどうか不明)。
Googleのアドワーズ広告をクリックした後、「来店して購入」した場合は、広告が貢献しているのに、コンバージョン計測ができない。
なので、推定数を出すようです。
「18%来店率が高くなったことが分かったよ」
※前半に「shopping」という枠で商品リスト広告っぽい話が出ていましたが、意味不明だったので省きました(検索結果にどのように出るかなど)。わかり次第アップします。
※最後の方に、「ドラフト(下書き)」と「レポートエディタ」の話を少ししてました。昨年発表されたものですが、今後実装する、という話と思われます。
●まとめ
昨年のものと連続して眺めてみると、
「広告イノベーション」「効率化・自動化」「計測の精緻化」
という3本の柱が、Googleアドワーズの変化の方向性であることがよくわかります。
広告の変革(イノベーション)については、今回は産業特化の方向性を打ち出したわけですが、これはとてもよいことだと私は思います。購買検討するモノやサービス業種によって、広告の見せ方が変わるのは当然ですからね。
「すでに大きな予算があるところにもっと使ってもらう」という発想だけでなく「検索データなどから需要があるのに供給が少ない産業を生み出す・成長させる」という視点は今後ぜひGoogleにはもっと望みたいところです。
効率化・自動化は、作業的な仕事をできるだけ減らしたい運用担当者、人件費を下げたい経営者(発注者)にとってはいつでも切実な課題です。
今回は地味ながら「バナーの自動サイズ変更(調整)」機能なんかは地に足のついたよいアップデートですよね。
計測の精緻化は、「電話」「来店」という伝統的なコンバージョン計測が難しいところに加え、マルチスクリーンを横断する「クロスデバイス」という概念が入ってきていっそう複雑でややこしくなってしまいました。
ここはGoogleだけではとてもカバーできる領域ではないので、ある意味コンサルティングなどの人的付加価値がずっと残っていくのではないでしょうか。独自にコンバージョン計測の仕組みをつくったり、代替指標を提案したり、あるいは数値化できなければ経験による勘とか推測に頼ることになりますからね。正直、今回のアップデートも「これで今までの悩みが一掃される!」とまで思えるような革新性はありませんでしたね。
アトリビューションについては、「盛り上がっては消え、また再度議論が盛り上がる」という時代の波を感じます。
最近は、日本においてテレビを見る人口は確実に減っているのにもかかわらず、テレビCMの市場が縮小するどころか拡大しているのを見れば分かるとおり、「わかりやすいラストクリックコンバージョン」だけでは広告ってだめだよね、という風潮に回帰している傾向もあります。
そんなわけで、あらゆる広告の効果の可視化はこれからも考え続けていく必要があるんでしょうね。
翻訳担当:中塚真帆(キーワードマーケティング研究所)
PS
なお、内容についてはざっくりなので、ぜひ翻訳しっかりやっていただける方は完全版として出してほしいです。またアップデートの見解は人それぞれですから、別バージョンも遠慮なく参考にしながらアップしていただいてOKでございます。