「負けて当たり前」から「一歩も引かない」へ。
昨晩のワールドカップサッカー、
日本×パラグアイは、
惜しいゲームだった。
勝つチャンスは十分にあった。
それだけに悔しさが倍増だ。
しかも、
決勝リーグにおいて、
ブラジル、イタリア、オランダ、ドイツ、アルゼンチン、
といった「名前だけで」圧倒されるような対戦相手ではなく、
「もしかしたら勝てるかも」
と思えるような相手にあたることが、
今後ワールドカップでそうそう起こることとも思えない。
50年に一度くらいの大チャンスだったのでは、
と思うと、
失ったものの大きさに肩を落とさざるを得ない。
(ウルグアイのベスト8進出は、
40年ぶりだった)
ただ、
同時に、
「日本ってこれくらいだよね」
とも思う自分がいる。
多くの人も、
そう思ったのではないか。
ワールドカップに熱狂した人たちのほとんどは、
Jリーグの試合を毎週見るわけでもなく、
サッカーを盛り上げるための貢献に、
いつも参加しているわけでもない。
日本のリーグでは、
ブラジルやコロンビアのように、
サッカーの勝ち負けで死人が出るようなこともない。
パラグアイは、
2008年~2009年の南米予選において、
ホームで、
ブラジルを2-0で、
アルゼンチンを1-0で破っている。
アウェーのアルゼンチン戦でも、
1-1の引き分けに持ち込んでいる。
「世界一楽なワールドカップ予選」
と揶揄されているアジア枠の日本が、
アルゼンチンと、
ブラジルに完封勝利を収めた上で、
ワールドカップに出場しているパラグアイに、
やはり、
勝ってはいけないような気がするのである。
しかし、今大会の日本代表は、
本当に、
すばらしかった。
ワールドカップにおいて、
「負けて当たり前の国」
から、
「勝てないまでも、強豪国相手にも一歩も引かない国」
には昇格した、
と言えるのではないか。
金子達仁さんは、
「自分が死ぬまでにW杯で優勝する日本が見たいし、それは可能なことだとも思っている」
と90年代から言っていた。
サッカーほど、
フェアで誰にでもチャンスがあるスポーツは、ない。
持って生まれた身体能力が問われるのならば、
アメリカやアフリカが常に強豪であるはずだ。
しかし、
そうはならない。
ワールドカップ史上、
もっとも記憶に残るシーンを演出して、
伝説となっている、
ディエゴマラドーナの身長は、
わずか166cmだった。
寒い国や暑い国によるハンデもない。
国の経済力もあまり関係がない。
しいていえば、
人口の多い国が若干有利か、
という程度のものだ。
日本が、
バスケットボールでアメリカを破ったり、
ラグビーのワールドカップで優勝する、
というのは、
残念ながら途方もない夢でしかない。
しかし、
サッカーは違うのである。
私も金子さんの意見に賛成である。
大事なのは、
目標を定めて、
あきらめずに、
着実に実力をつけていくことだろう。
ベスト4や決勝進出も、
決して夢ではない。
多くの人も、
そう思ったのではないか。
私たちが本気でそう望むのならば、
私たちは、
Jリーグの試合に足を運び、
日本のサッカーに少しでもいいから、
貢献をすべきだろう。
何の投資もせずに、
リターンを求めるのはフェアではない。
子どもたちが、
「Jリーグでプレーすることは、
生涯をかけて、命をかけてやるべきものだ」
と確信をもてる、
環境をつくるべきだろう。
その一歩一歩が、
未来での、
ワールドカップでの勝利の興奮に近づくはずだ。