たった46分の圧倒的に日常すぎる、だけど劇的に美しいストーリー(ぜひ梅雨の間に)

投稿日:2013年6月9日

映画、
「言の葉の庭」を見に行った。

たった46分の日本のアニメ映画なんだが、
ヤフー映画でとっても高評価だったので興味をそそられた。

六本木のTOHOシネマズの小さい劇場はほぼ満員。
あまりの人気にびっくりする。

たいして期待していなかったのだが、
すごぐ脚本がよく練られたよい映画だった。
大人がぜひ見るべき作品である。

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なにしろ、
46分というショートストーリーがよい。

近年の映画は、むやみに長いものが多く、つまらない脚本演出で、
2時間半とか3時間とか平気でだらだら流される。
私は長い映画というだけで最近は見るのを避けていたくらいである。

「言の葉の森」は、予告ムービーやエンドロールまで全部いれても1時間ぽっきり。

それでいて、
美しく、はかなげながら、
静かに進む中盤までのストーリー展開からは想像もできない、
魂を揺さぶられるような、心に突き刺さる激情を味わえる。

私たちが映画や物語に求めるのは、
「長い時間の退屈しのぎ」
ではない。

普段満たされることのない心の情動を、
あるいは明日を生きるエネルギーになる衝撃を、
求めているのである。

そこに時間の長さはほとんど関係がない。

新宿御苑と梅雨を舞台に、
大人になった女性と、
大人にあこがれを抱く少年の淡い恋を描いたこの物語は、
凝縮された、しかし深い物語を存分にみせてくれる。
脚本が見事で、いい意味でいろんな期待が裏切られることになる。

また、
日本らしい静かな雨の情緒を描いた映像は、
恐ろしいほど美しい。
非現実を描くべきアニメが、徹底的に現実を描いていて、
片時も目を離すことができない。

デジタルの騒音にまみれた心が洗われるような気分になる。

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そして、
タイトルにもなっている「言葉」の美しさが、
心にこだまするように突き刺さる。

雷神の 少し響みて さし曇り 雨も降らぬか 君を留めむ
雷神の 少し響みて 降らずとも われは留らむ 妹し留めば

「雷神」は、「ナルカミ」と読む。

万葉集にある柿本人麻呂の相聞歌である。

“愛”よりも昔、”孤悲(こい)”のものがたり。
というのは、この映画のキャッチコピーだ。

日本語は、
漢字とひらがな、そしてカタカナも交えて、
短い言葉で人の心の情緒を伝えることのできる素晴らしい言語であることを、
あらためて感るほどに、
様々な場面で流麗な言葉が感性を刺激する。

デジタルでビジネス効率面から「検索キーワード」という言語を捉えてばかりいないで、
情緒の面でもたまには言語をとらえてみると、
検索キーワードマーケターにはよい気分転換になるはずである。

ということで、

・わずか46分の凝縮されたショートストーリー
・圧倒的な映像美
・随所にちりばめられた美しい言葉の数々

というところがおすすめポイントである。

ぜひ、6月の梅雨の間に、
できたら雨が降っている日に見に行くことをおすすめしたい。

ネタバレになるのであまり詳しくは書けないけれど、
特に日常で孤独を感じることの多い経営者やマネジメント層の人間は、心をぐっと動かされること間違いなしである。
また、強い抑圧にさらされていると感じる若い世代にとっても。

それにしても本当に日本のアニメというのは、
すさまじいほどクオリティの高いコンテンツの塊だ。

大雑把でドンパチするだけの冗長な3時間のハリウッド映画を見るより、
日本人の繊細さと潔い美しさを思う存分に堪能できる46分をぜひおすすめしたい。

日本人に生まれてよかったと思える、
美しい余韻に浸れる作品だった。

PS
なお、この映画の予告編がオフィシャルサイトやyoutubeで見れるが、
決して映画を見る前に見るべきではない。
感動が薄れてしまうから・・・

言の葉の庭
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プロフィール

  • 滝井秀典
  • キーワードマーケティング 代表取締役。検索キーワード広告(PPC、リスティング広告)の研究、実践、教育をしています。会社の方では運用代行など。

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