楽天から自社サイトでキーワード広告を出し始める時の最大のポイント
毎週、
クライアントさんと電話相談をしています。
その中から、
広告主で自主運用をしている人の、共通した課題についての、
私の備忘録です。
キーワード広告の運用や発注をしている人のお役に立てば幸いです。
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楽天である程度売上げをあげている物販の方からの相談。
楽天では売上げは上がるものの、利幅が取れない。
自社サイトを立ち上げたものの、特に何もしていない。
今後どのようにしていくかの相談である。
この手の相談は実は多い。
大まかな戦略としては、
・楽天は継続する。売上げとロットをはかせるため。
・自社サイトにGoogleアドワーズ、Yahoo!リスティング広告を当てて利幅を取りにいく
・自社サイトはリピート客が滞留して黒字化するまで我慢する
という王道の話をアドバイスし、
戦術的には、
間違いなく顧客獲得できるキーワードから小さくはじめてみることを提案する。
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楽天で物販でやる場合と、
自社サイトで物販をやる場合を比較すると、
最大のポイントは、
「楽天では売上げは上げやすいが、いつまでたっても利幅が増えにくい。
自社サイトでは最初は売上・利益を上げにくいが、
顧客リストが豊富にストックされてくると急激に利益が上がりやすくなる」
という点に尽きる。
楽天は、
売上げに応じた従量課金、
メール配信の有料課金、
ポイント付与、
などなど、
「売上げをあげれば上げるほど、経費も比例して増える」
という仕組みだからだ。
自社サイトで、
検索キーワード広告やディスプレイ広告を中心に投資をし、
効率よく新規客を獲得し、リピート客をストックしていくと、
ある地点からは利益が急激に増えてくることになる。
いくらメール配信しようが、
いくら売上げをあげようが、従量課金などは当然ないからである。
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このように書くと、
なんだか物販を自社サイトでやれば楽園が待っているように思われるかもしれないが、
もちろんそんなに現実は甘くはない。
利幅が30%程度しかない物販の場合、
月額100万の売上げをあげようとするなら、
新規顧客の粗利で広告費を吸収することは、
特殊なケースを除いてほぼ不可能である。
※特殊なケースとは、
商品の固有名詞検索数が1万件以上あって、しかも競争が少ない、
などの場合。
物販の平均客単価は、
7千円程度であることが多い。
(※楽天の1回当たり購買単価は約7800円)
7千円で粗利率30%だと、
2100円。
この顧客獲得単価でキーワード広告を出そうとすると、
入札単価は、
1%のコンバージョンなら21円、
2%でも42円、
3%でも63円、
しか設定できないことになる。
(楽天の場合はコンバージョン率は5%超えることは日常的)
現実的に、
ライバルよりも短時間で多くのコンバージョンを生もうとするなら、
この2100円というCPA(顧客獲得単価)設定は、
難しくなることがほとんどである。
(もちろんコンバージョン数が少なくてもよいなら可能だが)
よくてトントン、たいてはちょっと赤字というレベルをしばらく我慢し、
少なくても自社顧客リストが3千件程度は溜まらないことには、
利益額を実感することはできない。
※3千件×リピート率15%=450人購入×2100円の粗利=945,000円、
つまりだいたい100万円の粗利が無料のメール販促で得られるレベル、ということ。
ただし、
新規顧客3千件というのは結構大変な数で、
月間100件だとすれば、2年半、
月間200件だとしても、1年ちょっとはかかる。
よって、
顧客リストが溜まってきて、
リピート客からの利益が上積みできるようになるまで、
1年以上は赤字覚悟、まともな利益が出ないことが必須な世界なのである。
(実際はもっと数字はシビアであることが多い)
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基本的に、客単価7千円以内の物販サイトにとっては、
自社サイトで検索キーワード広告へ投資していくビジネスは、
「どれだけ我慢できるか」
にかかっているといっても過言ではない。
広告主はこのあたりをしっかり認識していく必要があるだろう。
また、
運用代行にかかわるアドバイザーは、
こういった初歩的な現実を、しっかり理解してもらうことが肝要である。
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なお、物販だといっても、
粗利率が高いものももちろん存在する。
化粧品や健康食品なら粗利7割以上は常識となる。
ただし、
こういった高粗利のビジネスが粗利が低いビジネスよりも有利かといえばもちろんそんなことはない。
粗利が高いビジネスは、
常に「不安定リスク」がつきまとうからである。
事業の安定性、長期的な存続生を考えると、
粗利が低いビジネスの方が圧倒的に有利なことの方が多いのである。
この辺の所は、
またゆっくり別のブログで書いてみるので、
お楽しみに。